【数字で見る】工作機械業界大手企業 各社売上高

この記事ではこんな疑問にお答えします。

・工作機械の大手企業ってどこ?

・工作機械業界大手各社の事業内容

工作機械メーカー大手4社

工作機械業界で、一般的に工作機械メーカーと言えば、こちらの4社です。

オークマ、牧野フライス、DMG森精機、ヤマザキマザック

あまり聞かない名前ばかりだな。。。

ここで言う一般的とは、工作機械とは、金属を削る機械、旋盤やマシニングセンタを指します。

ネット上で、工作機械メーカーのランキングを調べると、次のようなランキングが出てきますよね。

でもこのランキング、工作機械メーカーの実態を表していないんです。

引用元:業界動向SERCH.COM

「工作機械と言えば」の4社以外の多くの企業が名を連ねているんじゃない?

そうなんです。一般的に言われている工作機械メーカーと、ランキングやまとめサイトなどで出てくる工作機械関連企業には齟齬があります。

その理由を説明していきましょう!

上記ランキング上位10社の内、前述で上げた4社以外の8社について部門別売上高より、工作機械の占める割合を見てみましょう!

工作機械業界売上高ランキングTOP10企業

1位:ファナック

ファナックと言えば、言わずと知れた大手超優良企業でお馴染みですが、

年間の部門別売上高を見ると以下グラフのようになっています。

以下グラフは会社発表の2020年3月期決算発表資料より引用しています。

引用元:ファナック決算発表資料

この4つの大分類の中で、工作機械に値するのは青色の「ロボマシン」の部分だけで、

売上の大きなウェイトを占める部分は工作機械ではない、FA、ロボット部門なのです。

もちろん、FA、ロボットは工作機械の使用されるような状況下で使用される、搭載されるものですので、工作機械の景気動向と関係が深いことには変わりありません。

売上の内、工作機械の占める割合は全体の約20%(2020年度は1,145億円)

2位:マキタ

電動工具国内最大手

結論からいうと、マキタは工作機械とは一切関係ありません。

もちろん優良企業であることとは間違いありませんが、冒頭で述べた、工作機械メーカーとは完全に異なります。

以下は、2021年4月27日発表の決算短信の引用ですが、売上区分の「製品」とは、建設現場などで使用される電動工具のことをいっています。

引用元:マキタ投資家情報

マキタは工作機械メーカーではなく、電動工具メーカー

4位:安川電機

モーター、産業用ロボットメーカー大手

2021年4月9日発表の2021年2月期の決算短信に記載のセグメント売上情報がこちら。

引用元:安川電機 決算関連資料

こちらも、工作機械メーカーではありません。

売上セグメントを見るとモーションコントロール、ロボットが大きなウェイトを占めています。

モーションコントロールとは、モータや制御装置であり、工作機械でも重要な役割を担う部品であり、工作機械と深く関連したメーカーであることは間違いありません。

モーター、制御装置、ロボットメーカーであり工作機械は製造していない

5位:アマダ

板金加工機国内トップ

2021年3月期第3四半期決算短信より、引用した部門別売上高がこちら

板金部門が、全体の70%以上を占め、板金用機械メーカーとしては国内トップ

ですが、旋盤、マシニングセンタの製造はしていません。

工作機械には板金が多く使用されているため、工作機械を製造するためにアマダ製の板金機械は多く使用されていることでしょう。

引用元:アマダ IR資料

板金加工機トップ。旋盤、マシニングセンタの製造はしていない

6位:THK

機械用直動システム大手

2021年2月9日掲載のインベスター・インフォメーションに記載されている部門別売上高がこちら

引用元:THK 決算関連情報

国内向けの直販分は、部門別売上高が公開されていますが、国内代理店向け、輸出向けについては公開情報がありません。

しかし、「工作機械」「一般機械」「エレクトロニクス」何れにおいても主力製品は直動システムであり、機械の製造はしていません。

直動システムメーカー大手

7位:不二越

工作機械関連機器を幅広く扱うメーカー

2020年11月期決算発表資料より、引用した事業別売上高がこちら

引用元:不二越 IR情報

工作機械本体の、売上全体に占める割合は10%以下。

また、工作機械は歯車加工などの専用機が主である。

売上の内、工作機械の占める割合は全体の10%以下(2020年度は140億円)

8位:コマツ (産業機械他部門)

建機国内最大手、世界ではキャタピラーに継いで2位

2020年3月期決算より引用した事業別売上高がこちら

引用元:コマツ 決算短信

コマツといえば建機。ですので建機の割合が圧倒的に大きく、「産業機械他」部門の占める割合は全体の10%以下とかなり少ないです。しかし、それでも2000億円規模の事業であり、かなり大きいと言えます。

産業機械他の内訳は、「プレス機械」「板金機械」「工作機械」などとなっており、

工作機械は、「自動車」「太陽電池」「半導体」向けに強みがあります。

会社HPには以下のように記載されています。

 トランスファーマシンやマシニングセンタは、世界の主要自動車メーカーのエンジン生産ラインに納入され、トップクラスの高い評価を得ています。

https://home.komatsu/jp/products/industrial-machine/#anc02

対象ワークを絞った専用機に強みがあるようです。

プレス、板金、マシニングセンタなど多品種を取り揃えており、汎用機というよりは専用機寄り

10位:日本製鋼所 (産業機械事業部門)

樹脂成形機大手

2021年3月期中間決算説明資料より引用した事業別売上高がこちら

引用元:日本製鋼所 決算説明資料

会社名から、製鋼の会社をイメージしますが、一番大きな売上を占めるのは、樹脂の製造、加工機械

金属加工でなく、樹脂加工の製品メーカー

まとめ

「工作機械業界」はいろんなジャンルが一括にされているため、ランキングだけを見ても同製品で比べたときの勢力関係がわかりにくいです。

売上高TOP10企業に、金属を削る機械(旋盤、マシニングセンタ)を製造している企業は、ファナック、DMG森精機、不二越、コマツ、オークマの5社のみです。

また、各社の売上の内、工作機械本体の売上高で比較をすると、冒頭のランキングとは大きく順位が異なってきますし、TOP10に並ぶ企業名も変わってきます。

工作機械に限定したランキング、比較は次の記事で見ていきましょう。

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